ついやってしまう 「介護で気をつけたいこと」

介護は100人100様です。
時間がない、忙しいときなど、心に余裕がなくなってしまうとどうしても目の前の対処ばかりに気を取られてしまいます。
じつは、介護を必要とする人にも時間をかけたらできることがあったりします。
できることは自分でやってもらう。
そのためには、なるべく体の動きを丁寧に見て、できること、できないことを把握してあげることが大切です。

ついやってしまう…
動作編

「危ないから」「時間がかかるから」行動を制限してしまう

何でも手を貸してしまうと、自分で何とかしようとする意欲まで失われ、介護の重度が進んでしまうことも。自分でできることは自分で!無理なことはサポートするくらいの気持ちでいてあげましょう。

 

「この姿勢なら楽でしょう」見た目だけで判断してしまう

毎日の暮らしの中で、姿勢を意識することはとても重要です。元気な人にとっての楽な姿勢が、介護を必要とする人にとって、体に負担をかけない姿勢とは限りません。クッションなどを活用して、できるだけ正しい姿勢を保てるよう意識しましょう。

「床が畳だから」「スペースが狭いから」介護用品の使用に躊躇してしまう

車いすは自由な移動を助け、介護ベッドは起き上がりを楽にするだけではなく、介護者の腰の負担を軽減します。入浴用リフトがあると体力的な負担が軽減できるなど、じつは介護用品は、介護する人を楽にしてくれるのです。

 

ついやってしまう…
会話編

「私のことわかる?」「今日は何曜日?」あいさつのように確認してしまう

相手が正解を知っていて、自分が試されているというのは心地よいことではありません。認知症を抱えた方にとっては、試すことでできなさを確認することになりかねません。決して確認したり、試したりしないこと。

 

「ほら、やっぱり」「そうじゃなくて」調理中に口を出してしまう

できないと決めつけずに、野菜を切ることはできるなど、できることをやってもらいましょう。身体が覚えている行為は行えても、手順を混乱していることがあるからです。

 

ついやってしまう…
食事編

「あの番組好きだから」「気分転換に…」テレビを見ながら食事をさせてしまう

食事中は、食事に集中する雰囲気作りが大切です。テレビに気を取られて、食べるペースが遅くなると食べる量が減ったり、悪い姿勢で飲み込んだりすると、誤嚥につながります。テレビを消して食事に集中してもらいましょう。

 

ついやってしまう…
排泄編

「なぜ漏れるの?」「どうしたらずれない?」おむつの当て方を気にしてしまう

おむつから尿や便が漏れたり、おむつがずれたりするのには必ず要因があります。サイズが合っていない、陰部に痒みがある、おむつの当て方がよくない…漏れにつながる原因をひとつずつきちんと見ていくことが、解消方法の近道です。

 

「替えるだけで手いっぱい」排泄管理を疎かにしてしまう

排泄を管理(いつ、どのように出ているか、どのような排泄物か)することで、食べたものがきちんと消化されているか、体調に異変がないか、排泄するタイミングはいつか、などを知ることができます。あらかじめ余裕をもって準備ができたり、病気の早期発見にもつながったりします。

この記事の監修

浜田きよ子 先生

この記事の監修

浜田きよ子 先生

  • 高齢生活研究所 所長
  • 排泄用具の情報館「むつき庵」代表
  • NPO排尿ネットの会 理事
母親の介護をきっかけに、介護や福祉用具について研究。以来、医師や理学療法士、看護師たちとの学習会を開催したり、介護や福祉用具の相談などを行ったりと、一般の方への研修から、医療関係者への研修、講演など数多く行っている。著書に「老いの技法」(時事通信出版)ほか多数